なぜ会議では、録音テープが聞き取りずらいか
会議の録音テープや、取材の録音テープを再生してみたら、とても聞きとりにくかったという経験はないでしょうか。
何人かの人間がいっしょにしゃべっていて、誰が何を言っているのかさっぱりわからなかった。
外の車の雑音などが妙に大きい音で録音されていて、かんじんの人間の声がかき消されている…。
その場にいた時にも、車の音は聞こえていたはずなのに、それがジャマになることはありませんでしたし、何人かの人間が同時にしゃべっても、聞きたい人の言っていることは、ちゃんと聞きとれたはずなのに、おかしいですね。
これは、機械と人間の能力の差なのです。
人間には、ザワザワしたところでも、聞きたいことに意識を集中して、聞きとる能力があります。
これを「カクテルパーティー効果」といいます。
パーティーの時は、人がたくさんいて、それぞれの人が話をしていますから、ザワザワ、ガヤガヤしています。
けれども、話をしている者同士は、お互いの話がちゃんと聞きとれます。
同時にいろいろな音がしていても、自分で選択したものを聞きとることができます。
ところが機械は、そういう選択はしていませんから、何でもそこにある音はすべて拾ってしまう。
そこで、録音したものを聞くと、何が何だかわからない、ということになるのです。
人間の耳がこんなに優秀だと知ったら、コンピュータなどにコンプレックスを持たないですみそうですね。
会議出席者の座る位置が問題なのか
あなたはいつも、会議でどの席に座っているでしょうか。
座る位置で、その人の会議での役割が決まってしまうことをご存じですか。
まず、長方形の机の場合ですが、リーダーは、短い辺に座るか、長い辺の中心に座ります。
同じような地位の人たちで会議をする場合は、この位置に座る人がリーダーになりやすい。
自然とその会議の中心人物になるのです。
性格的にいえば、短い辺に座る人は、強いリーダーシップを発揮する人です。
一人一人の意見より、テーマの解決を優先するタイプなので、どんどん決定を下して
いくでしょう。
長い辺の中心に座る人は、人の和を重視する人です。
テーマの決定よりも、みんながどんな意見を持っているか、誰と誰がどんな人間関係なのか、そういうことを重要視するタイプです。
出入り口に近いところや、はしっこに座る人は、会議などどうでもいい人。
あまり発言する気もなく、目立ちたくもない。
会議でも居眠りしていたり、発言を求められないようにピクピクしている。
それでは、机をはさんで奇数の人数で話しあう時、あなたなら、人数の少ないほうに座るでしょうか、人数の多いほうに座るでしょうか。
これも実験により、人数の少ないほうに座った人が、リーダーになる傾向があるとわかっています。
人数の少ない側に座ったほうが、より多くの人を見渡せる位置にいることになりますから、リーダーシップを取りやすいのでしょう。
こんなふうに、座る席の位置で、すでにこれだけの差が出てしまうのですから、誰もが「自分に有利な交渉をしよう」と思っている会議では、どこに座るかが大問題となってきます。
ベトナム和平交渉がパリでおこなわれましたが、この時、各国が、どの位置に座るかで八ヵ月ももめ続けたそうです。
会議に有利な位置があることを、みんなよく知っていたわけです。
この時は結局、円形テーブルを使うということで一件落着しました。