佐野泉の嫉妬
初期の佐野はそれこそ、中津秀一が瑞稀に猛アプローチしていても様子見程度でした。
それが、彼に変化が現れます。
中津が瑞稀にキスしようになったり抱きつきそうになったりすると、とにかくそれを絶対阻止しているのです。
中津の行動が見ぬフリを出来ないほどひどい有り様になったというわけではなく、瑞稀に対する佐野の気持ちが押さえ切れないほど強くなったからに違いありません。
中央千里の好きな「GLAY」も『嫉妬』という持ち歌の中で、好きな気持ちが強くなるほど、嫉妬心が大きくなるというようなことを歌っています。
その嫉妬心を拭い去るべく、佐野は「離れてヤキモキするよりもフォローの届く身近な方がよっぽど気がまぎれる」とまで言い始めました。
そんな佐野の嫉妬解消法は「好きな女の子に近づく男を寄せつけぬベシ」
この策をとっている人物が、佐野の他にもいます。
九条威月です。
彼は後輩の門真将太郎に悪い虫を寄せつけぬべく、女子高とのダンパ合同練習の時にしろ、第一寮水道管工事のため他の寮に振り分けられることになった時にしろ、何かと門真のそばにくっついて監視していました。
佐野も九条も独占欲が相当激しいようです。
・嫉妬状況下における好きな子への態度/彼女にヤツあたりする&独占欲LLになる傾向あり
ある時佐野は、難波南と瑞稀が抱き合っている現場を見てしまいました。
佐野はイラついて、瑞稀に声をかけられでもつっかかった言葉を返します。
「虫の居所が悪くて八つ当たりした」と佐野自身も認めています。
けれども、こんなことは一度ならず二度三度と起こり、挙げ句、八つ当たりの状況はひどくなる一方です。
「あいつ(瑞稀)のファーストキスの相手って実は俺なんだ」とギルバート・ラングが佐野にちょっかいを出したことがありました。
佐野はギルのハッタリをいつまでも気にして、ある時ついに「ギルって奴とキスしたんじゃないのかよ」と瑞稀に攻め寄った挙げ句、「俺がキスしてもいいんだな」と強引に迫り泣かせてしまいました。
クールな外見とは裏腹に、意外にも佐野の場合、嫉妬に狂うと、相手を信じる気持ちを完全に失っています。
焦りもあるのでしょう。
彼女の意志を無視して、強引に距離を縮めようという幼稚な態度をとっています。
ですが、佐野もそのことは分かっています。
「こいつの気持ちも分かんねえのに独占欲ばっか強くなって」。